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book - まさおのChangeLogメモ

2012-01-03 Tue

* 震災トラウマと復興ストレス [book]

東日本大震災を受けた心理的ショックに起因する課題について述べた本。
短い内容ながら、災害時の状況を環状島にたとえて、内海の犠牲者と内斜
面の被災者、外斜面から近づく支援者たちと、外界にいる多くの傍観者と
いう関係者の立ち位置に応じて、様々な課題をその水位や重力という形で
たとえている。これまでの災害時の経験と、今回の震災を受けた、トラウ
マやストレスがもたらすもの、時間的経過を通じたそれらの広まりや困難
さを論じている。

2011年7月時点での執筆のようだが、10ヶ月が経とうとしている現時点に
おどろくほど、そのまま敷衍できる形の記述と説明が多い。わたし自身、
発災直後からsaveMLAKという(間接支援)活動にかかわってきたが、その
中で感じた困難にも通じることは多い。

さて、最後のほうで、災害ユートピアを超えて出てくる課題の多くが羅列
され、悲観的にならざるをえないが、多様性と寛容力の大きな社会のほう
が、自己責任と競争を促す社会よりも、支援の輪を広げ、被災者が孤立せ
ずに多様な支援につながっていく可能性が高いのではないか、との提案も。
はてさて、どうだろうか。残念ながら、社会全体をどうにかするというこ
とは考えようもないが、できる範囲でのつながりを作る形の支援はまだま
だ10年20年単位でできる範囲で考えていきたい。

また、直接は関係ないが。
ここ数年忙しさにかまけてこちらの自分用メモも更新しない状態がつづい
ていた。おおむねツイッターでの発信で代用はしていたが、ツイッターで
は落ち着いた長い文章も書けないので、こちらのメモを介した発信も再開
していきたい。発信することによってやわらぐストレスもあるだろうと思
いつつ。。。

2009-07-06 Mon

* 竹馬男の犯罪 [book]

沖縄からの帰りの機中にて読了。

昭和初期のサーカス団をモチーフにした推理怪奇小説。

実は、著者の井上雅彦を井上夢人と勘違いして図書館で借りてきてしまっ
た、というオチ。なのだけど、まぁそれなりには楽しんで読めた。

時代背景などから雰囲気としては江戸川乱歩を思わせる作風か。

2009-04-25 Sat

* 白の闇 [book]

ポルトガルのノーベル文学賞受賞作家による小説。

なんとも言い難い不思議な作品。
単純にストーリーだけ追うとSF小説のようであり、一方で、会話文や人名
を省いた相当にユニークな文体による心理描写はかなり独特の味を持って
いて、とっつきづらいのだけど、最後まで一息に読んでしまった。

続編も出たらしいのだけど、まだ訳本は出ていない模様…。

あと、昨年に映画化されたらしいのだけど、全体の暗い雰囲気は、『地球
最後の男』[2008-12-28-2]にも似た趣き。
Referrer (Inside): [2009-04-30-1]

2009-04-22 Wed

* インターネットはいかに知の秩序を変えるか? [book]

タイトルからは想像していなかったけれど、この本は図書館情報学の専門
書とみなされるべきだろう。特に、分類体系を中心とする資料組織法に関
して、より一般的な整理法としてのエッセイからはじめて、DDC, FRBR,
リンネの生物分類といった旧来型の体系と、タグクラウド、フォークソノ
ミー、ファセット型探索といった、Webを中心としたサービスで開発され
提案されてきた概念とを対比しながら解説している。

原題は『Everything is miscellaneous』ということで、「すべては総記
となれ!」的な響きを持つ。。。

(アリストテレスの形而上学以来の入れ子・階層構造を持つ)「体系」の
思想は、情報にあふれた現在では限られた用途にしか使えず、その他のも
のは「雑多・その他」となり、やがて「その他」に埋めつくされるとの主
張を様々な観点から書いている。

本書の難点は、構成(および校正・製本)に雑な印象があり、それそのも
のが雑多さを表現しているのかも…(!?)
Referrer (Inside): [2009-04-30-1]

2009-04-20 Mon

* サブリミナル・インパクト [book]

潜在認知をテーマとして著者自身の研究成果とともに解説した本。

文体のせいか、ところどころ読み辛い箇所が多く、かなり読み飛ばし気味
で、まじめに議論を追いきれなかったが、創造性に関する章など、参考に
なるところも多かったように思う。

たとえば、p.268の議論のなかで「脳の外界へのすばやいアクセス」とい
うキーワードが示されるが、これは情報探索における行動の説明の難しさ
に通じる重要なキーワードとなっているように思う。また、p.278におけ
る、周辺・辺境の探索が独創的な洞察に通じると述べている点は、連想概
念の重要度に通じる。
Referrer (Inside): [2009-04-30-1]

2009-04-06 Mon

* オオカミ少女はいなかった [book]

副題に「心理学の神話をめぐる冒険」とあるとおり、心理学にまつわる
「神話」を批判的に解説する本。8つの学説やそれの元となった逸話をと
りあげ、疑問を投げかける。タイトルにある「オオカミ少女」の逸話は8
章のうちの1章にすぎず、様々な話題が取り上げられる。

なるほど確かに、オオカミに育てられた少女たちという存在は非常に稀で
あり、言語機能の発現といった、人間が持つ機能の解明のため、発達心理
学や言語学上の学説にも大きな影響を与えたと思われる。しかし、心理学
実験がヒトを対象にして行われる以上、追試を行うことが困難であったり、
倫理上、不可能であったりするケースも多いので、それが原因で都市伝説
化するという独特の現象だという気はする。
医学においても都市伝説が多いのはそれも起因しているのでは、という気
がする。

とくに研究においては、分かりやすいストーリーを作ることが求められる
ので、神話となるほどのストーリーを作り上げる機会はそうそう無いもの
の、最近でも、データマイニングの有名な事例として知られていた、「ビー
ルとおむつ」の逸話が都市伝説に過ぎなかったという話もあり、捏造や誇
張めいた話へと展開してしまうことがあったとしても不思議ではないかな…
という気はする。
Referrer (Inside): [2009-04-30-1]

2009-03-29 Sun

* ドットコム・ラヴァーズ [book]

アメリカでのオンラインデートサイト match.com を中心に、著者自身が
出会った男たちとの関係を実体験からレポートした本。

著者はアメリカ在住の米文化論や米現代文学を専門とする研究者だが、サ
バティカルで滞在したニューヨークと、職場のあるハワイでの経験を中心
に、かなり赤裸々な内容を伝えている。

著者も述べているように、「デート」は日米でかなり印象が違う言葉のよ
うで、文化の違いがほの見える感じはある。
とくに、日本の出会い系のように淫靡な雰囲気はなく、かなり普通のデー
トといった印象で、オンラインデートといえども明るい雰囲気なので読ん
でいて気楽。というか、全体にオンラインデート特有と思われる現象はさ
ほどなく、アメリカでの通常の男女の知り合う関係性のはなしにすぎない
という印象。

(沖縄からの帰りの機中で読了)
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-03-25 Wed

* 反貧困 [book]

日本社会の中で1990年代から急速に進む貧困への支援活動を続ける著者に
よる本。本書は昨年の派遣切りなどの流れのなかで大佛次郎論壇賞を受賞
し、著者は昨年末来の「派遣村」運動で中心人物として活動している。

自己責任論に真っ向から反論する形で書き上げた良書、という印象。
「滑り台」「ため」「排除」といったキーワードで、自立のための貧困へ
の対応を考える枠組みは、とても説得力があるように思った。

日本においてはいまだに「貧困層」の正確な統計すら取られたことがない
という根本的なところからして、まともな貧困政策が存在せずに、むしろ
貧困を隠蔽する方向での姿勢に終始しているというのも、すごく説得的。

先日[2009-03-24-1]に、ヤヌス氏の貧困との闘いといった本を読んだばか
りだったので、とくに興味深く感じた次第。

(沖縄行きの機中で読了。)
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-03-25 Wed

* コンピュータ科学者がめったに語らないこと [book]

MITで開催された特別講義において、Knuthが神および霊性の問題について
語った内容を採録したもの。前書きにあるとおり、まさに「神」が神につ
いて語る内容。

どこから話を始めるかと思いきや、専門とするランダム論から始めて、コー
パス解析を中心とした『3:16』という著書にまつわる解説を中心に講義を
進めている。

正直言って自分の中でのキリスト教に関する素養が薄いからか、聖書中で
の個別の話題にはほとんど興味をひかれなかった。やや期待外れの内容。

というか、いかにも宗教論争(および科学との関連)についての議論が盛
んになっているというアメリカ内の特殊事情を反映した本であって、それ
らの議論を下地にしたことを前提としない限り、かなり意味が分からない
本となってしまっている感じで、何故に日本でこの本が出版されたのだろ
うか、、、という率直な疑問を抱いた。

AIなどにおける知性の問題についての議論であれば、チューリングなども
取り組んだ決定性の問題について、以前[2008-10-09-1]に読んだチューリ
ング自伝などを中心に読んだほうがよほど幅広い議論に触れられそうな気
がする。

(沖縄行きの機中で読了。)
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-03-24 Tue

* 貧困のない世界を創る [book]

NPOとも営利企業とも違う「ソーシャルビジネス」を提案している。
著者は、2006年ノーベル平和賞受賞者であるグラミン銀行総裁のヤヌス氏。

マイクロクレジットプロジェクトから派生するソーシャルビジネスとして、
電話・IT、織物、畜産といったビジネスに適用を行った事例、そして、多
国籍企業のダノンとの合弁会社である、グラミン・ダノン社の事例を紹介
しながら、ソーシャルビジネスの展開の可能性を論じている。

実は、単にグラミンの話もしくはヤヌス氏の自伝を読んでみたかっただけ
なのだけど、ソーシャルビジネスからグローバルな貧困撲滅、地球温暖化
防止まで、大きなグランドデザインが描かれていた。

単に理想的に過ぎると、シニカルに受けとめてもよいのだろうけど、なに
よりマイクロクレジットの実績によって、夢想的とはかたづけられない力
強さを持っていた。

あと当初の目的には、ヤヌス氏の自伝も出ているようなので、そちらを見
ることにしよう。
Referrer (Inside): [2009-03-31-2] [2009-03-25-2]

2009-03-23 Mon

* マイ・ドリーム [book]

バラク・オバマ現アメリカ大統領が、若き日にハーバード大の歴史あるロー
レビュー誌でアフリカ系アメリカ人として初の編集長に就任して注目を浴
びた際に執筆した自伝。

『Roots』風の色彩が強く、混血児として生まれ育った自らのアイデンティ
ティへの葛藤をつづった青年としてのストーリー。アメリカ、ハワイ、イ
ンドネシア、ケニアとルーツをたどり生い立ちを追いかけていくストーリー
は、意外なほど叙情的な描写で書かれていて、理想に燃えるオバマ青年像
の原点が赤裸々に書かれている。

また、大統領へと勇躍した現在時点から見ても、野望に満ちた青年として
描かれる自身の像というイメージにも、またある意味では納得。
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-03-20 Fri

* アレクサンドリアの興亡 [book]

アレクサンドロス大王により計画され、プトレマイオス朝によって保護さ
れた多国籍都市アレクサンドリアの勃興から衰退まで、科学史に残る哲学
者たちの物語をからめながら、約600年の歴史を残す。

プトレマイオス朝がエジプト文明の流れを汲む形式で建造したアレクサン
ドリアを、ギリシア文明と調和させてヘレニズム文化を花開かせた過程と、
近代科学と並び立つともされる芸術・科学の街の様相を伝えようと描いて
いる。勃興期のアリストテレスの影響から、エラストテネスやユークリッ
ドといった全盛期の哲学者たちの交流と、図書館とムセイオンの影響を時
代を追って取り上げている。

残念ながら、いまに伝わる史料の少なさから不明な点も多いのだが、これ
ばかりは衰亡の影響という形での哀しさを感じるほかない。。。

著者はプトレマイオス朝の文化振興策を高く評価していて、裏に隠れてし
まってあまり表に出てこない都市計画と宗教文化を通じた統治策の視点は
興味深かった。
その一方で、キリスト教と異教徒との争いが結果的に都市の衰退を進めた
という点ををはじめとして、意外と知らない事実も多かったので、とても
興味深く読めた。
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-03-18 Wed

* 図書館ねこデューイ [book]

アメリカの公共図書館で育てられた猫デューイの物語。

18年間図書館で生きたデューイ自身の話と並んで、そのうちの25年間を図
書館員・館長として著者の半生が克明に描かれている。このアメリカンド
リーム的ともいえる雰囲気の中の図書館猫というものが本書を感動的なも
のにしている気がする。

80年代末からの図書館の電算化や、コミュニティ活性化のための図書館の
役割、図書館理事会(Library Boardかな?)、地方議会との折衝など、
アメリカの小規模公共図書館の経営の実態も垣間見えて興味深いものがあ
る。

特に、コミュニティの中での図書館の役割(図書館猫の役割も)が強く描
かれているのが、とても印象的だった。
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-03-18 Wed

* スパイダー・ワールド 神秘のデルタ [book]

先日[2009-03-12-2]読んだものの2分冊の続編。とはいえ、もともとは一
作品として書かれただけあって、つながりはスムーズな感じ。

前巻で蜘蛛の都市を脱出した主人公一行がデルタのジャングルで謎の動植
物と格闘する様子を描き、女神と呼ばれる存在と接触し、生態系のあり方
を理解するところまでの描写は圧巻。

オチとしての蜘蛛との和解や支配と自由といったテーゼそのものは、いさ
さか凡庸だが、予定調和な感じで予想よりもSFらしい展開だった。
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-03-12 Thu

* スパイダーワールド 賢者の塔 [book]

クモを頂点とする昆虫類が地球上を支配する25世紀で、文明生活から退化
した人類の野生生活とニュータイプ人類の出現を描くSFファンタジー小説。

かなりの長編作品で、まだ一巻目だが、ここまでのところ、おもな登場人
物と敵役となる蜘蛛の能力とニュータイプの持つ力との拮抗や、様々な支
配の力による自由意思のあり方がテーマとなっている感じ。

特に後者は大きなテーマで、民主主義社会に対する一つのテーゼとして
書かれたような香りを感じる。
Referrer (Inside): [2009-03-31-2] [2009-03-18-1]

2009-03-12 Thu

* となりの車線はなぜスイスイ進むのか? [book]

『交通の科学』との副題のとおり、一般の自動車交通システムにおける様々
な話題を幅広く解説している。

交通渋滞制御のためのメカニズムから、交通事故のリスク回避まで幅広い。
最初から最後まで一貫しているのは、大勢の交通移動者たちの人々の心理
学的要因が大きなファクターを占める交通現象の理解の難しさで、実際の
交通設計や交通当局の技術者に加えて、心理実験などでの知見が幅広く示
されていて、とても奥深いように思う。逆に、意外なほどに日常的な現象
であるにも関わらず、分かっていないことが山のようにあるという側面も
見えてくる本で、ややお腹いっぱいの感もあり。

なかでも、アカデミー賞授賞式当日の交通制御システムの現場を取材した
内容は、細かな交差点単位での制御が行われている実際の内容として、一
番印象深かった。
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-03-04 Wed

* ブログ論壇 [book]

ここ1・2年にまとを絞り、ブロゴスフィアに流れた議論を「論壇」として
表現し、いくつかの事象を取り上げながら、ネット社会とリアルとの関係
を問いている本。

札幌出張の機中で読了。

著者自身も書いているとおり、個人的な感想として、本書で書かれたよう
な「論壇」が出現しているとは思えないので、かなり懐疑的に感じた。

ひとつには、ブロガーネットワークが狭く閉じた世界になっていて、議論
が深まる様子が俯瞰しづらい構図になっている点。もうひとつは、サイバー
カスケード的な問題で、いわゆる炎上のような現象が議論の深まりを妨げ
ているという点。

逆に言えば、既存の論壇が崩壊しつつあるという象徴としては面白い視点
だと感じたものの、本書のように、紙メディアとしてまとめる必要がある…
というのは、なんとも皮肉な気がしないでもない。
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-03-04 Wed

* 人は海辺で進化した [book]

現生人類が過去の一時期に水生動物として進化過程を過ごしていたという
「アクア」説を唱える本。

札幌出張の機中で読了。

アクア説そのものはどこかで俗説のような形で耳にしたことがある程度だっ
たが、とてもキャッチーなタイトルで一度読んでみたかったので、図書館
で借りて読んでみた。

全体に証拠に乏しく、強引な展開が多い、というのが第一印象。
とくに、言語獲得、二足歩行等をはじめとする、人類の特徴的な進化適応
のほとんど全てが水生生活への適応に始まるとする主張はさすがに大袈裟
にすぎる形で、他の要因との検討が見られないせいで、主張の質を落とし
ているように思う。

残念ながら、1980年代初頭刊行と相当に古い本なので、その後の現生人類
のミッシングリンクの発見以降のこれらの説の妥当性についてどのような
評価が行われているのか、最新の研究動向も気になった。
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

2009-02-25 Wed

* ウィキノミクス [book]

ウィキコミュニティに代表される、オープンでユーザ参加型のプラット
フォームが整ったことによって、これまでにないイノベーションが見込め
るようになるとして、その活用を説く本。

大企業出資の合同研究プロジェクトによる調査結果を元にしたとのことで、
直接的な利益またはイノベーション創出の事例を集めた報告という観点が
強く出ている。

ゴールドコープ、SNPコンソーシアム、SecondLifeなど、個々の事例の成
功パターンが詳細に説明されているのが良い。

ただし、かなり一方的に明るい未来を強調する記述が強い布教本といって
良いほどで、マスコラボレーションが産み出す欠点や活用できなかった局
面といった例が出てこないのは、あまりに不自然。そこに目をつぶれば、
それなりに一読の価値はあるのだが。
Referrer (Inside): [2009-02-28-3]

2009-02-20 Fri

* 予想通りに不合理 [book]

個人の意思決定の局面は合理的には行われないとする立場からの行動経済
学の様々な知見を紹介する本。

内容としてはこれまでに読んだ類書(たとえば『経済は感情で動く』
[2008-10-07-1])にもあったエピソードもそこそこあり、さほど目新しさ
は感じなかった。

ただ、著者自身のエピソードと実験の楽しさを描くかのような眼前に実験
の様子が迫ってくるかのような、実験時のエピソードが随所に描かれ、躍
動感はなかなかのもので、実験心理学者としての著者の自負が小気味良い
感じ。その点から、つい先日読んだ『人は意外に合理的』[2009-02-18-1]
とは、その主張だけでなく、実験に対する立ち位置という点でも、対照的
のように思った。
Referrer (Inside): [2009-02-28-3]