next up previous
Next: 脳までの経路 Up: 視覚の神経解剖学 Previous: 視覚の神経解剖学

網膜のネットワーク

眼自体で起こる情報処理:

情報を処理・伝達する神経細胞はニューロンと呼ばれている。 ニューロンは細胞体と細胞相互を接続する軸索(神経繊維)からなっている。 ニューロン間の連結は細胞体か樹状突起のどちらかで起こる。 この連結部をシナプスと呼ぶ。

網膜内ではこれらの細胞が網膜の水平機構を形成している。 網膜はニューロンのネットワークとみなすことができるだろう。

細胞の中には網膜で生じた信号を脳に運ぶ役割をしているものもある。 これらの細胞が網膜の垂直機構を形成している。 垂直機構の最後の細胞は神経節細胞と呼ばれていて、 ほぼ80万個存在する。 この細胞の軸索は10数センチメートルの長さがあり、眼から脳に伸びている。

色々なタイプの神経細胞が杆体と錘体から脳にいたるまでの信号伝達に関わっている。 受容細胞からの信号は2個のシナプスを経由して垂直方向に進行する。 最初のシナプスは受容細胞そのものと両極細胞との間、 第2のシナプスは両極細胞と神経節細胞との間にある。 神経節細胞の軸索は眼から出ていく視神経を構成している。

信号の分析は水平機構でも行なわれ、水平細胞がこれを行なう。 次の高次なレベルでの水平処理はアマクリン細胞が行なう。

相互結合の密度は場所によってことなる。 網膜周辺部では1個の神経節細胞は数千個の杆体から情報をうけとっている。 網膜の中心窩ではそれぞれの錘体が1個の両極細胞を結合して、 1個の神経節細胞に結合している。 この種の直接結合は小型の細胞である、 超小型両極細胞と超小型神経節細胞によって行なわれている。



Masao Takaku 平成11年3月12日