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パイロットプロジェクトの実施

パイロットプロジェクトを実行する際には、 従来のソフトウェアプロジェクトのやりかた (チームの結成、問題の抽出、一からのプログラミングなど) を真似ないことが重要である。

オブジェクト指向アプローチを正しく評価するには、 その手法を全面的に適用することが必要である。 まず、運用の領域を選定して、 再利用可能クラスの小ライブラリの構築をしながら業務モデルの構築を行なう。 それから、 従来のソフトウェア開発のサイクルをラピッドプロトタイピングで置き換えながら、 業務モデルを使って一連の問題を解決するプログラムを作成する。 このようにしてアプリケーションを3つ作成したころには、 オブジェクト指向アプローチの恩恵は完全に証明されているだろう。

実験段階を抜ける前に、 オブジェクト指向技術の効果を測定する必要があるかも知れないが、 まだそのような実験を行なった企業はほとんどない。 まず、おなじ問題について 従来手法での開発チームとオブジェクト指向での開発チームを別々に用意して、 それぞれの開発が完了した時点で、 プログラムサイズ、実行速度、リソースの必要性、完成までの期間、 欠陥の数、総合的な品質といった項目で両者を比較する。 さらには完成品に対する改良リストを用意して、 変更を行なわせ、修正への適応度を測定する。 修正のコストも集めることで開発全体の費用対効果が確認できる。



Masao Takaku 平成11年3月11日