川口市の図書館で今日借りてきて早速読んだ本。
千葉大学の教育学部で「道徳教育」を行ってきた筆者が自身の独特の授業
方法を元に、大学生の教育法の改善を提案。
大学生は、読み書きの方法がまるでできていないから、その基礎を集中的
に鍛え、個々の具体例に当たってきちんと自分の意見を言えるようになる
ための訓練が重要との信念に基づいた実践と提言。
抽象論に陥らないよう、ノートの取りかた、リポートの書き方の指導を中
心とした厳格な授業法は革新的に思えた。
いわゆる『お勉強』ではない『研究法』をきちんと教えるには、こうする
しか無いのかもしれない。
また、いわゆる大学生を対等な大人と見なすような現代的な観点からは、
相当にアクの強いものと受け取られるかもしれない。しかし、現実の大学
の惨状を見るにつけ、ここで展開される筆者の「大学の授業」観は、「怠
惰な」「たるんだ」大学生を立て直すための手法として有効なのかもしれ
ない。
少なくとも、一大学に数人はこういう厳格な授業を(少なくとも1・2年次
あたりで)する御仁がいてくれると、最低限のルールを学べていいだろう
なあ、と自分の経験からも思った。
大学で授業を行う一人として、非常に耳が痛い面も多いが、具体的な授業
法を示すという意味では、貴重な一冊。