カリナリーと呼ばれる料理人養成学校での日々を伝えるドキュメント。
料理の過程を体系的に教授していく様子の記述を読んでいると、とても楽
しげで、自分も最近はさぼりがちな料理をまたやってみたいという衝動に
かられる。
また逆に、レストラン等の外食産業の普段は見ることのない裏側を知ると
いう点もまた面白い。外食するたびに、その店の裏側を想像する楽しみも
ありそう。
物書きとしての立場で入校し、一般の生徒と同様に調理実習に取り組みな
がらも、しだいに料理人の卵としての立場に変わっていき、自身のアイデ
ンティティに対する他者の目、自分の目での葛藤が描かれていて、いわゆ
るエスノグラフィーものに見られる葛藤そのもので、興味深い。
なにげなく手に取った本だけど、今年読んだ本の中でも出色の面白さだっ
た。