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まさおのChangeLogメモ / 2008-10-22

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2008-10-22 Wed

* "rating"が欲しいのなら、査読結果をそのまま出せばよいのでは?

http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20081021/1224607923
ほとんど同感なのだけど、一点だけ。

なんというか、論文の場合、既に「査読」という一種のレーティングがな
されているのだから、しかも典型的なケースでは3名程度によるレーティ
ングになっているわけで、それを公開するだけで事足りるんじゃないの
か???
cf. [2007-04-12-1](落ちたときのやつなので論外だけど)

逆に言えば、査読レベルでのレーティングでもないかぎり、適切な意味付
けを論文に加えるのは難しいと思う。

査読付き原著論文の場合、

・そもそも読者によるレートとは何を示すものか?
・レートされた情報によって、読者は何が得られるのか?

の部分を満足した解を出すのがかなり難しく、論文の評価は評価者の属性
に依存するので、評価者の属性をある程度オープンにしないと難しい気が
する。つまり、分野違いの人の意見なのか、素人の意見なのか、専門家の
意見なのかを区別しないと、全く無意味だと思う。だから、得点だけで何
かの意味付けを加えるスターやらレーティングやらのようなスタイルには
適さないと思う。

たとえば、素人や学生さんが、ある論文の学問分野への寄与度を知りたい
とか、お薦め論文を知りたいとか、そういうニーズの場合には、レーティ
ングを頼りにするにしても、いきなり原著論文をあたるのはかなり無理が
あって、普通は解説記事とか書籍から読むべきだと思う。だから、逆に言
えば、レビュー誌や解説記事などの場合には、Amazonみたいな普通の書評
というスタイルがそのまま利用できる気がする。

ついでに、唯一つかえそうなケースは、新着の面白い論文を知りたいとか、
そういう学問的に評価の定まってない最新動向に対するものだろうけど、
そういうケースは普通に「お友達に聞く」手段がもっとも効率的だし、そ
ういう場合には同分野の人以外の評価を聞いても参考にならないと思う。
とくに、そういう場合の評価はかなり属人的なものなので、実名である程
度顔見知りの中でやっていかないと厳しいものがありそうに思う。という
ことで、安達先生が、先端学術研究は全世界でもせいぜい数百人程度のコ
ミュニティで運営されているので、その中でSNSでも作ってやっていくの
が一番効率的では、という言い方をしていたけど、そんな感じに閉じたと
ころでやっていく方向の発想になってしまって、なかなか難しい気がする。

いずれにしろ、学術文献はYouTubeなどのように、暇つぶししたいという
人向けではないので、文脈を抜きにしたレーティングの得点だけあっても
無駄だよね。という点には同意。

先日[2008-10-14-2]に CiteULike を紹介した際に念頭にあったのは、あ
そこは登録ユーザによるタグ付けが、各ユーザが見ている学問の体系をう
まく表現している点が面白くて、全く違う観点から同じ論文を見ている人
がいることがわかるし、すくなくともどのユーザが自分の観点に近いかが
分かる部分が気に入った点がある。これはどちらかと言えば、フォークソ
ノミの部分のタグ付けのお話なので、レーティングとはまた別の話題だろ
けど。

まあ、そもそもがロングテールとしての学術文献では、ほとんどの場合で
論文を読むのはその著者と査読者だけというものが大半なので、、、とい
うのは誰かが言っていた気がするけど…。ついでに言うと、ボランタリー
な査読者の作業が報われる方向でなにか考えられるとよいと思いました。