書名に「広辞苑」とあるが、副題にあるとおり、各種国語辞典の100項目
サンプルによる比較調査が主題となっている本。
個人的な思い出としては、小学校6年生のときの誕生日プレゼントだった
か、クリスマスプレゼントだったかで、当時出版されたばかりだった『広
辞苑』第4版を入手したのを覚えているが、その当時はテレビCMでもかな
り流れていて、新版の広辞苑が欲しかったのは覚えている。結局中学生の
時分には、ブリタニカ百科事典とならんで、広辞苑がよく広いた本の一つ
になっていた記憶がある。友達と一緒にたほいやゲームをしたりなどもし
たし、今でもかなり親しみがある。
それはともかく、本書は国語辞書批評の本である。共通の100項目を選定
した上で、市販の辞書を大中小とそろえ、それぞれの記述・説明の有無な
どを詳細に見ている。
しいて言えば、共通項目の選定の根拠がいまひとつ分からないのが難点で、
広辞苑をはじめとする特徴のはっきりとした辞書はともかく、微妙な性格
の中辞典などはあまりくっきりとした特徴は出ていない。もともとの辞書
という媒体の持つ性格なのだろけど。。。
著者はもともと新聞の校正の現場にいたという立場である以上、どうして
も対象が新聞用語を基調としたものになりがちという印象はいなめない。
また、古文に相当するものをこの種の批評に組み入れるべきかは、悩まし
い面がある。きっと、辞書作成者の立場から似たようなことをやってみる
と、面白いのだとおもう。