フランス国立図書館の館長を務める著者による、Google Printプロジェク
トに対する返答という形で出された小冊子をまとめたもの。
著者の主な論点は以下の2つのようだ。
- 「商用/クローズドなMass digitizationをどう見るか?」
- 「Mass digitizationの優先順位をどう付けるか?」
著者はこれらの点に対し、オープンかつ反グローバル・自文化尊重という
観点から、積極的に欧州的価値観からの取組みをおこなうべきとの立場に
立っている。具体的には、グーグルなどが進める取組みに遅れを取ること
に危機感を表明し、自国の国立図書館もしくは欧州国立図書館連合での、
積極的な電子化政策と財政基盤の確立を訴えている。
まあ、米国の長年の同盟国としてのフランス、という立ち位置の複雑さも
あるのかなと思う。
(イラク開戦期の微妙な時期だったのもあるのだろけど…)
文化的側面からの言及も多くなされているため、その情緒的な書きぶりに
はやや懸念を持つ。まあ、国内向けの論説としてはこれでいいのかもしれ
ないが、長期的もにそれでやっていけるのか、はたまた。。。
新しい技術と文化の問題での議論という意味では、90年代に盛り上がった
「Unicode有害論」を思い出してしまった。。。