キーワード検索の背後にある概念と原理を解説した入門書。
この間
[2008-01-17]に、『3時間で「専門家」になる私の方法』を読んだ
時の感想:
あと、逆に言えば「情報検索演習」や「レファレンス演習」の教科書も、
こういった煽り系のタイトルに変えてマーケティングするだけで、売れる
んじゃないかなあと思わないでもない。。。
という発想をそのまま実践された本のように思う。
つまり、司書資格課程の情報検索演習の教科書をそのまま一般向けにした
ものととらえるのが良いだろう。
検索要求の例とそれをキーワードに展開していく例も分かりやすいし、各
節ごとにちょっとした練習問題が付いていて、すこし考えさせる内容なの
も、さっと読み流してしまわないための良い構成のように思う。
キーワード検索から見たファセット分析の解説と例も分かりやすく、あら
ためて勉強になった。総じて、概念レベルでの整理と具体例のバランスに
優れていて、大量情報からの検索を行う際の基本的な考え方を理解するの
に必須のことがらをうまくまとめていて、良書だと思う。
一点だけ弱いと思う点は、WebもしくはWeb上のサーチエンジンに特化した
話だ。
これはおそらく、たぶん、このあたりの利用者から見たキーワード検索と
いう概念と、Webでサービスされているサーチエンジンの特性との差異の
部分であろうから、概念・原理を考えさせるという本書の意図からすれば、
蛇足の部分だろうし、類書において追求すべきことがらだと思う。
ただ蛇足ついでに言えば、残念なのはこのような点を実践できるような解
説は日本語では今のところ見当たらないという点だ。いまや、Webサーチ
エンジンの原理・実装として、単純な全文検索方式による実装を想定する
だけでは、弱いと思うし、逆に有害な局面も出ているように思う。
サーチエンジンをあまりにもブラックボックス化して考えるのは、利用者
側にも、サービス提供側にも、双方にとって不幸なことだと思う。
もう少しこのあたりにつっこんだ解説が出てくることが望まれそう。
自分で書けば良いのかな...!?