社会的ネットワーク分析の名著。
社会学における知見を随所に盛り込んで、社会的関係におけるネットワー
クとはどういうものであるかを解説している。
本書は1997年刊行で新しいものではあるが、直後の1998年発表のワッツ&
ストロガッツによる「スモールワールド現象」の理論的再発見と、バラバ
シらの続いた数理的ネットワーク理論の発表があって以降、その方面から
の研究が活発になり、多くのネットワーク分析関連の類書が書かれてきた
ものの、いかんせんその視点は数理的な枠組みにフォーカスしたものとなっ
ており、結局のところネットワークをどう捉えるのか?という視点には、
いささか疑問を覚えざるをえないものもあった。
本書では、そういったフラストレーションに見事に答えうるものだと思う。
(ほんとの時系列上からいえば逆なのだけど…)
具体的な社会学の枠組みにおけるネットワークの見方と、筆者の見解とを
バランスよく解説しており、とても参考になる。
また、エスノグラフィーなどの他の社会学分野における方法論との接点と
いう意味でも、良い入門的解説となっているように思う。
以前から、きちんと読んでおかねばと思いつつも、後回しにしていたのを
悔やむ…。