元特捜部検事から弁護士に転身して、バブル期の表・裏社会のドンたちの
顧問弁護士として過ごした著者の自伝。
前半は、生い立ちから検事になるまでと、検事となってからの出来事。
中盤は、検事をやめるにいたる経緯から、バブル期の特徴的な人物たちと
の交際の模様が描かれ、最後に自身が関わったとして有罪となった事件の
内幕まで。
昨年、「国策捜査」という流行語を生んだ佐藤優の『国家の罠』
[2007-12-11-1]
とともに話題となった本らしい。
なかなか盛り沢山な内容だが、自伝としてはそれなりに読み応えがある。
生い立ちの貧乏話から苦学するあたりの話や、バブル期の豪壮なお金の話
は、その時代を代表する話題で、かつ、著者自身の思いがなかなかこもっ
ていて、興味深い。検索の内側にある論理が透けてみえてくるような検察
官僚についての話題や、暴力団をはじめとする裏社会との付き合いについ
ても、なかなか興味深い。
また、具体的な実名をあげながら書いてあるという点で、上記の佐藤優の
本と同じく印象的。
ただ、最後の自身の事件についての記述は細かな話が続くので、そこだけ
流れがとぎれているように感じた。