経費節減を目的とした、民間委託や指定管理者制度導入などが急速に進む
公共図書館の現状と、今後の図書館経営戦略を解説している。
公共図書館に迫っている市場化(業務委託、指定管理者制度)の波を所与
のものとして、それらにどう対処すべきかを明確に述べている点で、いま
求められる本という感じ。
とりわけ、単なる経費節減を目的とするのではなく、各地域の実状にあわ
せた図書館としてのミッションを確立し、サービスの高度化を主眼に置く
べきという提言は、急速に悪化しつつある図書館経営の現状に対する処方
箋として、大変重要なもののように思った。
さらにもう一点、図書館職員の人材育成に向けての観点を、理念的および
実務的な立場の両者から論じているのも大変興味深かった。
おそらく今後、公共図書館の閉塞状況を打破するためには、上記2点に的
を絞って、もっと掘り下げて議論する必要があるだろうという気がする。
他にも、契約の際の事業者評価や遂行にあたってのモニタリング、事後評
価といった実務面からの解説もあり、今後の公共図書館経営にあたっての
必読の書となる気がする。
また、現在の図書館経営はどこも苦しいので、たとえ館種が違ったとして
も図書館関係者にとっては色々なヒントがありそうな気はする。
次は「事業者」「市場」の実像がきちんと見えてくるといいのだけど…。