公共図書館に関する議論における論点に着目して、その内容をまとめた本。
いわゆるレビューのようなもの。
公共図書館にかかわる「論点」とされる内容として、以下の話題をとりあ
げ、それぞれについてのこれまでの議論の経過とその主要な論点をまとめ
ている。
1章・「無料貸本屋」論
2章・ビジネス支援サービス
3章・図書館サービスへの課金
4章・司書職精度の限界
5章・公共図書館の委託
6章・閉架資料の紛失とBDS
7章・自動貸出機論争
「はしがき」で田村先生が述べているとおり、執筆者がそれぞれにことな
ることから、それぞれのレビューのスタイルは多様で、立ち位置にも別に
統一があるわけではない点は、やや読み辛い気もする。たとえば、4章と5
章に近接する議論の展開が見られるのを除けば、全体に別個のレビューが
おこなわれているように思う。このため、レビューの立ち位置として中立
的に論じるのか、著者としての立場をある程度示した上で議論をまとめる
のか、といった点で、雑多な印象を受ける。この辺はやや好みのわかれる
ところかもしれない。
とはいえ、個々の論点に関して言えば、これまでの議論をまとめて再構成
するという本来の目的には成功しており、かなり有益な論点整理が行われ
ているように思える(素人目には…)。
ついでに、内容とは関係ないのだけど、こういうかなりメイニアックな話
題を取り上げているものを書籍として成立させたのは稀有な気も。。。