今年にはいってから読んでいた、大学病院を舞台にしたミステリ小説。
『チーム・バチスタの栄光』
[2008-01-24-1]
『ナイチンゲールの沈黙』
[2008-02-08-1]
に続く第3弾作品。
冒頭から前作とのオーバーラップがあるので、一瞬、間違えて第2弾の
『ナイチンゲールの沈黙』を読み返してしまっているのかと、錯覚を起こ
して表紙をひっくりかえしてしまった。エンディングまでそのままオーバー
ラップは続いたので、交差する時間感覚を楽しんでもらおうという趣向の
ようだ。
無理にオーバーラップさせる必然性を感じなかったので、これはどうもい
まいちな印象。
全体のストーリー展開などは前作からの流れをひきついでいるので、相変
わらずなのだけど、主要登場人物の沼田の言葉のいくつかがひっかかって
しまっている。
まあ、エンターテイメントとしては相変わらずのキャラクターなどの掛け
合いもうまくて面白くて良いのだけど、その反動からか、第1弾から見ら
れたシリアスな日本の医療問題との絡みとしては、どうも弱くなっている
気がする。あとリアリティの点でも…。
第1作の頃で見られたこのあたりのバランスを、今のペースで書いている
小説に反映させるのは難しいのだろうけど。。。