戦争を経済学的観点から見ると、どうとらえられうるかという点を解説し
た入門書。
戦争が景気や経済動向に与えるマクロな視点に加えて、物品調達や人員確
保といったミクロな視点から見た考察がバランス良く加えられていて、大
変興味深い。
たとえば、各章末尾に練習課題が置かれているなど、全体を通じて、戦争
という題材を経済学の学部レベルの演習で取り上げて、経済学の基礎的な
概念の学習に使えるように工夫されている。
逆に言えば、展開されている議論はそれほど緻密ではない印象も受けるが、
戦争というものが経済的にペイするのかという視点から徹底して考えてみ
るキッカケとしては面白く、その題材の料理の仕方も基本的なポイントを
おさえたものとなっている。
難点を言えば、核兵器やテロリズムといった事象を取り上げた章では、そ
の考察がかなりアメリカの政策的観点からの見方に偏って取り上げられて
いるので、別の観点からも見る必要があるように思える。
いずれにしても、戦争と経済という関係の概観をつかむには、最適の本と
いう気がする。
個人的には、もはや戦争は経済的にペイしないのだなあという感想を持っ
たけれど。。。