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まさおのChangeLogメモ / 2008-07-18

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2008-07-18 Fri

* マイクロソフトでは出会えなかった天職 [book]

マイクロソフトのオーストラリア・アジア地域担当の上級職員を辞めて、
ネパールをはじめとする貧困国への学校・図書室を建設し図書を寄付する
NPOチャリティ団体の設立者による本。

なかなかに感動的なお話でした。

いや、利害関係の面から言っても、本人によるものなので、相当に割り引
かないといけないのは、わかるんだけど、やはりその行動力は買わないと
いけないとおもう。

ただし、この一種のNPOのサクセスストーリーは、大勢の富裕層の存在に
支えられたものなのだけど、それはそれで複雑な気もする。単純にチャリ
ティ精神に溢れた人が欧米に多いというだけではない問題も一部にはらん
でいる気はする。。。

すこし印象に残ったのは、筆者は各地への出張は寄付金を集めるためなの
で、それ以外は無駄ではないかと疑問を呈している。活動の講演は単なる
紹介ではなく、具体的な寄付行為をともなってほしいからこそ、という立
場で行うという姿勢を示している。
このため、行動しない立場からの批判よりも、なによりも行動することの
重要性を強く訴えている。その行動力には

じつは先日のARGカフェのあと、その出会いがいつごろだったかを疑問に
思って[2008-07-13-2]、ARGのバックナンバーをすこし読んでみたが、その
一周年の際に出たインタビュー記事の中で岡本さんは、次のように語って
いた:

もっと発信すべきという前提に立つのであるならば、たとえ内容的に不
満が残る場合であったとしても、その方々を批判するべきではないと思
うのです。少なくともプライオリティをつけて、何ら発信することのな
い方々を真っ先に批判の対象とすべきではないでしょうか。ともあれ、
少なくとも私にとっては、傷つくことを恐れずに発信している方を叩く
ということは非常に品位に欠く行為であると思えるのです。

この精神こそがまさに活動の分野はことなるものの、この本の著者の思い
なのだろう。

さて、また一方で、著者のプライベート面や金銭面での苦闘についてはさ
りげなく書いてはいるものの、見過ごせないポイントでもある気がする。
世界中の人々へ幸せを届ける活動をしているとする張本人にとっての、人
生の幸せを考えさせられる。ただ、それを乗り越えるパワーは、前向きな
パーソナルな力と、その活動を支える欧米社会特有のチャリティ文化とが
あるのだろうと納得させられる面もある。

個人的にも、ここ数年にユニセフあたりに不定期で寄付している分の一部
を、こちらに送ってみても良いのかもとは思った。
http://www.roomtoread.org/
Referrer (Inside): [2009-01-03-1]

* Technologies behind Google ranking

http://googleblog.blogspot.com/2008/07/technologies-behind-google-ranking.html
Amit SinghalによるGoogleにおけるランキングの解説、第2弾。

Googler特有のかなりぼやかした書きぶりだが、ヒントとして見れば、そ
れなりに興味深い。

「Understanding pages」の項で言っていることを見ると、たとえば、ア
ンカーテキストや周辺ページからの文書拡張を使って適合ページを見つけ
る、という話題のように読めるし、具体例はないものの、ページ内の出現
語のfreshnessを計算するといった手法についても触れられている。

「Understanding queries」の項も、同義語コーパスの使用例や、多言語
認識によるエンティティマッチの例が示されている。

「Understanding users」の項では、アクセス元の地理的属性を利用した
手法や、ログインユーザの行動履歴を通じたパーソナライゼーションにつ
いて触れている。また、クエリ補正との関連やビデオ検索といった他のサー
ビスへのリンクを提供する手法についても触れている。

ちょっとびっくりしたのは、CLIRについても触れている点。CLIRは研究レ
ベルでは伝統的にやられてきたものの、応用面では使えないと言われて久
しいといわれていたので。。。

まあ、残念ながら全部の仕組みが透けて見えるわけではないものの、特に
最初の「Understanding pages」あたりは、Google規模でなくとも、ある
程度は実験的に確認できる話であるので、なんとなく想像がつくが、他の
部分は、高精度のエンティティマッチなど、ブラックボックスになってし
まっていて、そのままでは中身の想像が効かないものも多い。

ただし、巷の誤解に満ちたSEO情報などを駆逐する意味でも、こういった
情報をきちんと提供しようという姿勢は評価したい。
また、個人的にも、こういった裏側での実装手法を知ることが、ユーザの
検索行動を助けるのではないかという思いがあるので、その点でも助かる。

P.S.
そういえば、「PageRank」に一言も触れていないのは、マーケティング戦
略の変換なのか? それとも単にブログというメディアでの誠実さなのか?
Referrer (Inside): [2008-07-31-1]