『交通の科学』との副題のとおり、一般の自動車交通システムにおける様々
な話題を幅広く解説している。
交通渋滞制御のためのメカニズムから、交通事故のリスク回避まで幅広い。
最初から最後まで一貫しているのは、大勢の交通移動者たちの人々の心理
学的要因が大きなファクターを占める交通現象の理解の難しさで、実際の
交通設計や交通当局の技術者に加えて、心理実験などでの知見が幅広く示
されていて、とても奥深いように思う。逆に、意外なほどに日常的な現象
であるにも関わらず、分かっていないことが山のようにあるという側面も
見えてくる本で、ややお腹いっぱいの感もあり。
なかでも、アカデミー賞授賞式当日の交通制御システムの現場を取材した
内容は、細かな交差点単位での制御が行われている実際の内容として、一
番印象深かった。