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まさおのChangeLogメモ / 2009-03-25

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2009-03-25 Wed

* 反貧困 [book]

日本社会の中で1990年代から急速に進む貧困への支援活動を続ける著者に
よる本。本書は昨年の派遣切りなどの流れのなかで大佛次郎論壇賞を受賞
し、著者は昨年末来の「派遣村」運動で中心人物として活動している。

自己責任論に真っ向から反論する形で書き上げた良書、という印象。
「滑り台」「ため」「排除」といったキーワードで、自立のための貧困へ
の対応を考える枠組みは、とても説得力があるように思った。

日本においてはいまだに「貧困層」の正確な統計すら取られたことがない
という根本的なところからして、まともな貧困政策が存在せずに、むしろ
貧困を隠蔽する方向での姿勢に終始しているというのも、すごく説得的。

先日[2009-03-24-1]に、ヤヌス氏の貧困との闘いといった本を読んだばか
りだったので、とくに興味深く感じた次第。

(沖縄行きの機中で読了。)
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]

* コンピュータ科学者がめったに語らないこと [book]

MITで開催された特別講義において、Knuthが神および霊性の問題について
語った内容を採録したもの。前書きにあるとおり、まさに「神」が神につ
いて語る内容。

どこから話を始めるかと思いきや、専門とするランダム論から始めて、コー
パス解析を中心とした『3:16』という著書にまつわる解説を中心に講義を
進めている。

正直言って自分の中でのキリスト教に関する素養が薄いからか、聖書中で
の個別の話題にはほとんど興味をひかれなかった。やや期待外れの内容。

というか、いかにも宗教論争(および科学との関連)についての議論が盛
んになっているというアメリカ内の特殊事情を反映した本であって、それ
らの議論を下地にしたことを前提としない限り、かなり意味が分からない
本となってしまっている感じで、何故に日本でこの本が出版されたのだろ
うか、、、という率直な疑問を抱いた。

AIなどにおける知性の問題についての議論であれば、チューリングなども
取り組んだ決定性の問題について、以前[2008-10-09-1]に読んだチューリ
ング自伝などを中心に読んだほうがよほど幅広い議論に触れられそうな気
がする。

(沖縄行きの機中で読了。)
Referrer (Inside): [2009-03-31-2]