MITで開催された特別講義において、Knuthが神および霊性の問題について
語った内容を採録したもの。前書きにあるとおり、まさに「神」が神につ
いて語る内容。
どこから話を始めるかと思いきや、専門とするランダム論から始めて、コー
パス解析を中心とした『3:16』という著書にまつわる解説を中心に講義を
進めている。
正直言って自分の中でのキリスト教に関する素養が薄いからか、聖書中で
の個別の話題にはほとんど興味をひかれなかった。やや期待外れの内容。
というか、いかにも宗教論争(および科学との関連)についての議論が盛
んになっているというアメリカ内の特殊事情を反映した本であって、それ
らの議論を下地にしたことを前提としない限り、かなり意味が分からない
本となってしまっている感じで、何故に日本でこの本が出版されたのだろ
うか、、、という率直な疑問を抱いた。
AIなどにおける知性の問題についての議論であれば、チューリングなども
取り組んだ決定性の問題について、以前
[2008-10-09-1]に読んだチューリ
ング自伝などを中心に読んだほうがよほど幅広い議論に触れられそうな気
がする。
(沖縄行きの機中で読了。)