大学病院内の人間関係と天才医師団の活躍を描くミステリー小説。
昨年のヒット作のひとつで、著者は現役の医師だということだが、近年の
大学病院内部の話題をおさえつつ、ストーリーや登場人物のキャラクター
も魅力があり、話題になったのもむべなるかなと感じた。
最後の展開はやや唐突といった雰囲気もあるけど、ミステリーの枠として
はこんなものか。逆に言えば、前半からの流れは無理にミステリーとしな
くてもよかったんじゃないかなあと思うくらい臨場感のある良い作品だと
思った。
個人的には、昔読んだ新潮社のミステリーシリーズに似た雰囲気の病院を
舞台にした作品に、似たように天才医師が出てくる話があった記憶があり、
そちらと対比させながら読みなおしてみたくなった。といっても10年以上
前のことだからうろ覚えだけど…。ちょっと検索した限りでは逢坂剛の
『さまよえる脳髄』(
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