新宿で売春婦・風俗従事者を対象とした福祉・生活扶助事業に携わる婦人
相談員を長年勤めてきた著者が見聞きした体験をもとに、売春婦たちの生
い立ち、性産業などの様子を赤裸々に描いている。
特に、借金、薬物、ヒモ、やくざがからみあった、凄惨な性搾取の様子を
描き切っている。
また歴史的にも、戦後の売春禁止から赤線廃止以降の性風俗の変遷もある
程度つかめるような内容になっている。廓、赤線、キャバレー、ソープラ
ンド(当時はトルコ風呂)、マッサージへと移っていきながら、著者自身
の30年あまりの苦闘の経過を描くとともに、そこにいる人々のある意味で
の変わらなさと悲哀がよく出ている。