個人の意思決定の局面は合理的には行われないとする立場からの行動経済
学の様々な知見を紹介する本。
内容としてはこれまでに読んだ類書(たとえば『経済は感情で動く』
[2008-10-07-1])にもあったエピソードもそこそこあり、さほど目新しさ
は感じなかった。
ただ、著者自身のエピソードと実験の楽しさを描くかのような眼前に実験
の様子が迫ってくるかのような、実験時のエピソードが随所に描かれ、躍
動感はなかなかのもので、実験心理学者としての著者の自負が小気味良い
感じ。その点から、つい先日読んだ『人は意外に合理的』
[2009-02-18-1]
とは、その主張だけでなく、実験に対する立ち位置という点でも、対照的
のように思った。