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まさおのChangeLogメモ / 2007-10-13

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2007-10-13 Sat

* 第55回日本図書館情報学会・研究大会第一日目

http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/seminar/docu/okada_lab/jslis55/

なぜか司会補助の役目をおおせつかっていて、似合わないとは思い、いろ
いろ失礼をしたのではないかとかなり不安になりつつ、懇親会ではご無沙
汰の人々と楽しく内部事情をうかがいつつ語らうという展開。。。

司会を割り当てられていることもあり、第2部会にずっといたが、肝心の
発表内容としてはいろいろと興味深い内容もあった。

以下、とりあえず手元のメモより再現。

・出前図書館:
http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/seminar/docu/okada_lab/jslis55/abstracts.html#02
大学図書館の利用者の増加および接点を求めるために、学食に出前図書館
と称して一種の移動図書館を開設したという話。

図書館による企画力・テーマ選定能力の強化というのはこれからの重要な
主題だとおもうので、こういう現実的な図書館機能の強化の話題が普通に
なっていくとよいのかとおもった。発表自体としては、もうちょっと近隣
の図書館との関係や、対象利用者の図書への親近感がどのくらいあるのか
といった分析も加味して話題が展開されると貴重な発表になるかなと思う。

・大学図書館における外国語Webページ:
http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/seminar/docu/okada_lab/jslis55/abstracts.html#29
日本の大学図書館が提供するWebページのうち、英語ページにおける情報
提供内容を分析。

図書館の提供している内容と、対象とするであろう利用者のニーズとがか
みあっていないのではないかという重要な問題提起を含むもので興味深かった。
とりわけ、英語Webページの提供が、誰を対象としたものであるのかを把
握しつつ行うかが難しいところがあるように感じる。ただ、今後の課題と
して説明していた通り、学外・学内の区分、および国内・国外の区分など、
想定する利用者層がそれぞれの図書館ごとに異なると想像され、それらを
どのように整理するかが今後の課題だろう。おそらく、学習および教育支
援、研究支援といった形で類型化された中で展開される図書館像を分析す
る形になるだろうと想像され、異なるレベルのニーズのすれ違いといった
話題を整理していく話になるのではないかと思われるという意味では、今
後の展開が楽しみな研究のように思った。

・科学技術情報の流通
http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/seminar/docu/okada_lab/jslis55/abstracts.html#14
学術情報流通の機能および要素をまとめながら、昭和初期から開始された
抄録誌「日本化学総覧」を事例にとり、科学技術情報の提供と公的機関に
よるサービス提供の流れの歴史的経緯を分析。

とりわけ前段の学術情報流通の整理とその展開のまとめが興味深かったも
のの、その後の事例報告がすこし粗くなってしまっている雰囲気で、いろ
いろとツッコミをうけていたが、逆に、学術団体によるサービス運営の撤
退事例とか、そういった雰囲気としてとらえると今後の参考になるとか、
面白いのではないかと、門外漢の目からは見えた。

・アレセイア
http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/seminar/docu/okada_lab/jslis55/abstracts.html#25
これまでもPDF学術論文の同定で多くの研究報告を行ってきたグループが
いよいよ検索サービスに踏み込んだ内容。

54万件のPDFファイルを学術論文として検索するという内容だったが、
学術文献を検索するという意味では、Google Scolarと遜色無いレベルの
精度を出せるという話で、これまでの研究の一種の集大成としては重要な
話であったように思う。アレセイアという検索エンジンの名前も印象的。

ただ、これまでやってきた「学術論文の同定」という話の延長で話が進ん
でいるため、検索そのものの話が少なく、やや残念だった。また、サービ
スとして展開するという場合に必要となる収集レベルの研究もこれからと
いう話なので、もうちょい突っ込んだ話になると面白いのではという感じ
をもった。

・図書館職員のフォーカスグループインタビュー
http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/seminar/docu/okada_lab/jslis55/abstracts.html#32
図書館職員のフォーカスグループインタビューの内容を書き起こし、質的
分析を加えた報告。予稿の内容以外には、KeyGraphによる分析を報告。

なんだかインタビュー内容が、やけにネガティブな内容に偏っているのが、
気になった。現職の図書館員に話を聞いたら、もう前向きな話は出ないの
かしら…。苦しい胸の内は分かるにしても、理想形を現実に展開していく
という話をしてもよいのでは…という気はします。

・重複レコードの同定
http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/seminar/docu/okada_lab/jslis55/abstracts.html#01
谷口先生による発表。
書誌レベルと、文献タイトルページの内容コピーOCRテキストを用いた、
重複レコードの自動判定実験の報告。

今の職場での仕事の一部に同定の仕事があるので、とっても興味深い内容。
書誌要素単位でのマッチングとして、どの要素がどれくらい寄与するかを
実験した結果を報告されていて、参考になる。特に、表紙・裏表紙ページ
のOCRテキストを重複判定に使ってもあまり精度向上に寄与しないという
のは、一面では意外でもあり、その要因がどのあたりにあるのかは今後の
報告が楽しみでもある。

どこまで論文などの別のスキーマを持つレコードに役立つかは不明だが、
いろいろな方向から実験してみるという意味では重要な報告ではないかと
おもう。

・アーカイブ人名典拠
http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/seminar/docu/okada_lab/jslis55/abstracts.html#24
図書館・文書館・美術館など館種をまたいだ人名典拠のあり方を設計する
という野心的なもの。

とりあえずはNDLの人名典拠をベースにするのが現実的ではないかという
提言や、それぞれの典拠ファイルをクロスウォークしていくためのエレメ
ントセットを設計していく方向を狙っていくという意図はおもしろいが、
どこまで実現できてくるかという意味では今後が勝負の研究かなといった
雰囲気。ただ、日本の典拠をどう盛りかえしていくかという意味でも、あ
まり猶予はゆるされず、著しい進展が期待される分野でもあるかな…とい
う意味では厳しいものも感じる。
Referrer (Inside): [2007-10-14-1]