分子遺伝学にもとづく行動科学の解説書。
性行動、食欲、子育て、睡眠などのヒトの行動を分子レベルまでさかのぼっ
て、どのようなゲノム、タンパク構造がこれに関連しているか、その要因
を解説している。
ヒトの行動そのものよりは分子遺伝学の解説として書かれているため、化
学物質名、タンパク質名が頻出して内容を追うのがちょっと大変だった。
新書ではあるものの、前提知識のレベルはやや高めの設定のように感じた。
概説書などの紹介があるとよいかなとおもった。
また、ヒトの行動を念頭に置いて書かれてはいるものの、もろもろの制約
により、ショウジョウバエ、線虫、ラットといった実験動物における知見
が書かれていて、人間行動へは解説は、ゲノム・分子レベルでの類似性か
らの敷衍となっている。人間行動に対するズバリな解説とはなっていない
点にも注意が必要かも…。
このあたり、人間行動によりフォーカスした話については、以前読んだ
「進化と人間行動」の方がずっと広い見地から書かれていたので、そちら
を読んだ方が良いのかも。 cf.
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全体の印象として、取り上げているトピックもやや散漫で、ハッキリして
いなかったのが残念。