リンク: [ホーム] [自己紹介] [リンク集] [アルバム] [ソフトウェア] [発表文献] [その他]

まさおのChangeLogメモ / 2007-11-09

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

2007-11-09 Fri

* SRC言語資源シンポジウム

http://research.nii.ac.jp/src/symp2007/index.html
なんかすさまじく豪華な顔ぶれのシンポジウムが職場で開かれていたので
参加しておくことに。

GSK, NTCIR, NII-SRC, NICT, ATR, KOTONOHA など国内の錚々たるコーパ
ス構築プロジェクトの解説が聞けた。
いずれの発表も重要なコーパスの構築の試みについて、位置付けと今後の
展望を述べていて、大変参考になった。

なによりも、現在国立国会図書館長を務められている長尾真先生は、これ
までのコーパス研究と、それをどう役立てていくかという本質的課題を、
歴史的な展開をふまえて整理して解説していたのがとても的確で、説得力
があった。
また、印象に残った言葉として、以下のようなことをおっしゃっていた:

「基礎的なデータ・ソフトウェアが無かった時代、NLP研究者はなかなか
増えなかった。」

「(今は図書館にいるが)ここでも、図書の自動分類、自動要約、件名の
自動構築、典拠の自動構築など、NLP研究の新しい技術を図書館に取り入
れることを絶えず考えていて、取り組むように言っている。古いやり方と
膨大な資料の量のためになかなか思うようには進んでいない…。」

「社会に対して(実用になる)面白い研究を出していって、発展の方策を
示してほしい。」

最後の点は、国立国語研の前川先生も同様に、「社会に対して働きかける
のが重要」と述べた上で、「そのためにはNLPのキラーアプリを提示して
いって、説得する必要がある」と言われていたのが印象的だった。

* ネットで人生、変わりましたか? [book]

ITmediaの有名女性記者による執筆記事を集めた本。

記者によるITの技術的側面にとどまらず、取材対象者の人生や生活をITが
変えていく様を描くことに注力した記事を届けてきた様子をふりかえる。

単に技術解説するだけでなく、それをどのようにQuality of Lifeにより
よい方向として取り入れていくかについては、ジャーナリズムが持つべき
本質的機能なんだろうなあと気付かされた。まあ、企画そのものは、彼女
だけでなく、それを周りで支えてきたとおもわれるライターや上司の心意
気がすけてみえるのがよい感じ。

そういう意味では、ネタ記事がまじっているのもどうかとおもうが、これ
が彼女の人気を決定づけた記事なので、しょうがないかという気もしない
でもない。。。こういった部分からどう脱皮していくのかという出口戦略
が必要なのかなという気もする。
# 釈迦に説法かしら…。

* 最高学府はバカだらけ [book]

少子化をむかえて様相を変えつつある、大学および大学生の「バカ」な事
象にツッコミを入れ、大学改革へ向けての提言を行っている。

内容はそれほど突飛ではないが、全体の文調が悪ノリに過ぎるように読め
てしまい、マジメに読む気を削ぐのが難点。

一点気になったのは、受験産業と就職活動という大学の入口と出口に絞っ
た話題の展開がされているが、産業の大きさからそこに着目するのはよい
としても、大学の内実をブラックボックスとして見てしまい、本質を捉え
ていないのではないかという印象もある。筆者が「化学反応」と呼ぶ本質
の部分をもうすこし突き詰めて考えるべきではないかと思った。作者自身
「おバカな大学関係者」に毒されて、うわっつらしか見えていないのでは
ないかとの危惧も覚える(ミイラ取りがミイラに…)。

なお、一章分を割いたフィクションの記述は、読者をバカにしているよう
で不快。この形で入れる必然性は無いように思われ、著者および編集サイ
ドの意図はよく分からない…。
Referrer (Inside): [2007-11-30-2]