国内の主婦を対象として、正月やクリスマスをどのように過ごしているか
の調査結果を報告。近年の主婦層や家族像の変化を描いている。
調査結果そのものはとても面白く、価値あるもののように思う。
しかし一方で、全体の主張にかなり違和感があり、あまり前向きには受け
取れなかった。
著者は、主婦たちの勝手気ままさと「私」中心主義を批判的に描いており、
旧来の家制度における家族像をそれと対比させた形で論評していた。しか
しながら、この論評自体がかなり観念的な形で語っているのではないかと
の印象を受けた。
むしろ、この筆者による考察や主張を省いた、純粋な調査結果報告だけで
読んでみたいと思った。
本論での主張以外では、調査紙等での回答項目と実態との乖離についても
触れられていたが、こちらも興味深い現象と思った。ただ、これについて
は、むしろ学校教育における情緒作文教育の賜物ではないかという気もす
るし、「本音と建前」に代表される旧来型日本人像に沿う展開として見た
方がいいのではないかなという気はした。
また、著者も述べている通り、主婦だけを対象とした調査結果なので、調
査結果および主張においては父親に相当する家族内の男性の姿はほとんど
現れない。やはりこの部分は気になるところで、両面からアプローチした
方がいいのではないかなと思った。