浅間山荘事件の全共闘世代から、80年代から90年代のテレビ世代、そして
現在の2ちゃんねるにいたるまでの時代空気として展開してきたアイロニー・
シニニカルな論説を取り上げて、社会意識の変化を追っている。
世代差なのだろうけど、個人的には全共闘世代については全く実感が湧か
ないし、80年代前半の空気もよく分からない。ただし、80年代中盤以降の
日本社会の変遷については追えているつもりなので、アイロニー的に嗤う
社会ができてきたとの主張については、説得力を感じた。
ここで気になるのは、それら時代空気と個別現象とにどれくらいのつなが
りを見るべきかという点にありそうなのだけど、そちらについてはよく分
からないというのが率直な感想。おそらく著者もそのつながりというとこ
ろまでは言及していないし、全体像としてとりあげるにとどまっている雰
囲気。
本書での2ちゃんねるへの言及はわかりやすく、適切な説明だとは思うも
のの、一面的に代表させすぎという気も少しして、そろそろ10年を経過し
ようとする2ちゃんねるという空間そのものの変容をも考えるべきではな
いかとも思った。