SARSアウトブレイクに見舞われた北京の医療関係者の取材により書かれた
ノンフィクション。
図書館で見かけて思わず手にとったが、引き込まれるような迫力があり、
そのまま読み切ってしまった。
戦場となった第一線で院内感染をひきおこしながらも、献身的に従事した
医者、看護婦たちなどの姿を中心に取り上げている。
なかでも正体不明のウイルスに対する情報がキーとなっており、医師たち
もインターネットで情報収集にあたっていたとの報告にはハッと考えさせ
られるものがある。
最後の解説文にて、中国の問題としてではなく、日本において同様の現象
が起きた場合にはどうすればよいかを考えたほうがよいとの言葉に感銘を
受けると同時に、それへの対応ができてはいないとの指摘にはぞっとする
ような思いに襲われた。