リンク: [ホーム] [自己紹介] [リンク集] [アルバム] [ソフトウェア] [発表文献] [その他]

まさおのChangeLogメモ / 2008-05-20

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

2008-05-20 Tue

* 1421 [book]

1421年の中国・明の鄭和による海洋大遠征は、全世界へとその船を進め、
地図を作り、作物・家畜を交換し、入植地を築いたという説を唱える本。

副題に『中国が新大陸を発見した年』とあるとおり、これはコロンブスら
の大航海時代の探検家に先立つこと半世紀近くあり、西欧の冒険家たちは、
明船団による成果を元に探検を進め、「新大陸の発見」も既に鄭和船団の
一部により遂げられていたと述べている。

さらに、新大陸のみならず、南極・北極域にまで遠征は及び、詳細な地図
製作術により、たとえば有名なピリー・レイス地図などにその痕跡を残し
ているとの斬新なアイデアも披露している。

著者は元イギリス海軍の潜水艦乗りで海の航法といった面から考察を進め
るという独特の発想は興味深い。

その一方で、史料の扱いに関してはかなり粗雑な印象…。エビデンス抜き
にかなりの独断で論を進めている箇所も目につく。
そういう意味では、素人なりの斬新な解釈により、大胆に物語として織り
あげたという点が、この本のもっとも興味深いところじゃないかと思う。

なにより、当時の壮大な風景を描くことには成功しているように思う。
おもわず書店の店頭で手に取ってしまったのも、その大胆な論調だったか
らで…。

また、コロンブスらに代表される西欧による「発見」という定説となって
いるものに先立つ、中華帝国による「発見」を対比させているため、中国
による当時の技術力などを西欧のそれと比べて、スケールあるものとして
描く反面、西欧・中国以外における航海術やその可能性について記載が薄
いのは若干残念で、あくまでも、筆者の関心の中心は、コロンブスらの大
航海時代との対比にある点に留意が必要そうな雰囲気。。。
特に、アラビアやオセアニア地域における交流の様子にも考慮が必要なん
じゃないかなあという気はする。
Referrer (Inside): [2008-05-31-4]