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まさおのChangeLogメモ / 2008-05-19

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2008-05-19 Mon

* 名前と社会 [book]

社会における人の名前の位置付けについての論考集。
家族史学会のワークショップの報告をもとにまとめたものらしい。

内容は人類学の観点からの報告が主体となっていて、日本をはじめ、中国、
韓国、イヌイットなどの比較人類学的な論考にくわえて、法制度などの観
点からの論考もおさめられていた。

とくに、近世日本から近代にかけての名前制度の変遷は、われわれの現代
日本の名前制度につながるものであるので、興味深かった。つまりは国家
が規定する名付け文化の変遷であり、伝統社会の文化が消えたり、変容し
ていく様子がまざまざと述べられていて、近代以降の名前文化がかなりの
程度、国家の手による恣意的な運用の中にある所産であると実感した。
これが単なる日本固有の事象ではなく、全く異なる文化にあるカナダのイ
ヌイットたちでも同様の傾向はあるなど、比較人類学特有の観点から、様々
な名前・名付け文化について考えさせられる。

いずれにしろ「人の名前とは何か?」という本質を考えるには、ちょうど
良いものだったと思う。

『人名の世界地図』[2008-04-15-1]、『名前と人間』[2008-05-09-2]と読
んできた人名関連書のなかでは、もっとも専門的な内容で参考になった。
Referrer (Inside): [2008-05-31-4]