ヒトの知性とはどのような存在で、どのようにして生まれたかに迫る本。
これはすごい本。
「まえがき」によれば、もともと人工知能学会誌 Vol.18,No.4 (2003) で
組まれた特集「知の起源」への寄稿論文数編をもとに、いくつかの章は別
の著者に執筆を依頼して編集されたものとのこと。
http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/journal/contents/18-4.html
以前から気になっていたが後回しにしていて読む機会がなかったが、先月
[2007-12-12]に開催されたWI2研究会で招待講演をしていた鈴木氏が参考
文献として挙げていたのが気になって、ようやく読んでみた。
各章ごとに論じている範囲と分野が大きくことなるが、認知科学、人工知
能、脳科学、認知発達、言語学、ソフトウェアインタラクション、ロボッ
トなど、多岐に渡っている。各分野からの筆者たちがそれぞれ、知性とは
何で、どのような過程を経ているかという、とても難しく、未解明の問題
に様々な角度から考察を加え、大胆に仮説を論じている。
とても面白かった。
個人的には、0章と2章の鈴木氏による論考がとても興味深かった。
多様性、多重性、並列性からなる知性の枠組みは、ヒトが関わる様々なプ
ロセスで考えなければならないものだとおもう。
また、5章のソフトウェアインタラクションを論じた山本・中小路氏によ
る無意識による創作という話題もとても興味深い。3章のヒトによる認知・
動作の揺らぎといった話題とも絡めて、これまたきちんと考えておかない
といけない話だとおもった。
知性と認知や、知性と言語など、いろいろな面でのギャップを既往研究の
成果や研究事例をもとに論じていて、考えさせられた。
折りに触れて再読すべき本のひとつかも。。。