これまでアニメ、マンガ世界で描かれてきた「世界征服」というフィクショ
ンを現実世界に適用するとどうなるかを検討するという内容。
最後は自由主義社会と資本主義の市場原理によって、ナイーブな世界征服
自体が不可能になるのではないかとの予想から、社会論まで展開している。
が、社会論そのものは舌足らずで、やや紙幅が足りていない印象。既刊の
もので述べているらしいので、そちらを参照して、ということだろけど、
やはり社会論を展開する部分よりは、著者らしいフィクション内の設定等
を検討する様子が見たくて読んだので、そういう意味ではやや残念。
あと、読んでみて思ったのは、フィクションの前提となる設定条件には、
クリエータそのものの発想力が大きく問われているという感じか…。
そのへんは最近読んだ
かわら長介のM-1批評における立ち位置、オリジ
ナリティ、主張性といった議論と通じるところがありそうかなと思った。