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book - まさおのChangeLogメモ

2008-11-23 Sun

* 慟哭 [book]

オウム真理教・サリン事件の林郁夫の裁判記録を中心に、その判決までを
追うドキュメント。なぜ前代未聞のテロ事件が起きたのかを林の関わりを
中心に明らかにしようとしている。

だいぶ有名になった聴取段階での取調官とのやり取りから、弁護士のやり
取り、裁判で自白相当とみなされるようになるまでの流れ、無期刑の確定
までを描いている。

外形的な記録が中心になりがちながらも、一部では心情的なやりとりも表現
され(本当に正確な内容になっているどうかはともかく…)、後悔・悔悟
の念も伝わるような内容となっている。
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2008-11-21 Fri

* キムはなぜ裁かれたのか [book]

副題に「朝鮮人BC級戦犯の軌跡」とあるとおり、朝鮮人軍属のBC級戦犯の
姿を追ったもの。

戦中における捕虜の扱いに対する無定見さや、組織のありかた、朝鮮軍属
の募集・徴収の様子、収容所の悲惨さ、戦後の戦犯法廷、刑務所での日々
といった順に様々な角度から追っている。資料も当事者からのインタビュー
や細やかな一次資料に基づく記述はとても説得力があり、興味深く読めた。
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2008-11-17 Mon

* 神の棄てた裸体 [book]

東南アジアから中東にかけてのイスラム教国における、売春宿や売春婦の
故郷を流浪した旅行記のようなもの。

悲惨な実態に驚く。ただ、別にイスラムだから、ということではなく、著
者の言うとおり、どこであろうとヒトのやることに違いはないという結論
になりそうで、興味深い。
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2008-11-12 Wed

* テレビジョン・クライシス [book]

テレビが持つ公共性、メディア性の考察。

いかにして日本社会におけるテレビの公共性が作られていったか、そして、
21世紀にそれが変容しつつあるか、という点に関して興味深い議論を提供
しているように思う。とくに前半の視聴率を題材とした、暗黙のうちにも
つテレビ観の分析は説得的で、参照文献も多く示されており、とても参考
になる。

ただし、後半の公共圏、メディア圏の論理的枠組みをからめた考察は、話
に飛躍があり、ついていけなかった。。。
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2008-11-09 Sun

* ポリティカル・セックスアピール [book]

ケネディ以来のアメリカ大統領選挙がメディアPR合戦になっていることか
らも推察されるとおり、ハリウッドのショービズ業界とワシントンの主で
ある歴代大統領との関係をルーズベルト時代からたどって解説した本。

キーとなる人物として、ハリウッドの大物たちの系譜もたどりつつ、現代
につながる政治活動とハリウッドスターたちとの関係を分かりやすく解説
していて、面白く読めた。今年のオバマ、ヒラリーの戦いも例に、メディ
ア戦略とともに、それぞれの人脈も示している。

ハリウッドと大統領という、アメリカ独特のアイデンティティが興味深い
形で示されていて、さらに今後のハリウッドから政治へアプローチする道
筋を具体的な人物を挙げつつ、大胆に解説しているのも興味深い。
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2008-11-08 Sat

* スポーツオノマトペ [book]

一般向けに、スポーツ時に使われるオノマトペの役割や機能、効用を解説
した本。

もう少し専門的な本かと思ったら、かなり啓蒙的な一般向け内容でややガッ
カリ。強引な書きぶりも目立つ。
巻末のミニオノマトペ辞典を見ていると楽しいので、参考文献に挙がって
いるような、もうすこし詳しい専門書を読むのがよさげ。
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2008-11-06 Thu

* 料理人誕生 [book]

カリナリーと呼ばれる料理人養成学校での日々を伝えるドキュメント。

料理の過程を体系的に教授していく様子の記述を読んでいると、とても楽
しげで、自分も最近はさぼりがちな料理をまたやってみたいという衝動に
かられる。
また逆に、レストラン等の外食産業の普段は見ることのない裏側を知ると
いう点もまた面白い。外食するたびに、その店の裏側を想像する楽しみも
ありそう。

物書きとしての立場で入校し、一般の生徒と同様に調理実習に取り組みな
がらも、しだいに料理人の卵としての立場に変わっていき、自身のアイデ
ンティティに対する他者の目、自分の目での葛藤が描かれていて、いわゆ
るエスノグラフィーものに見られる葛藤そのもので、興味深い。

なにげなく手に取った本だけど、今年読んだ本の中でも出色の面白さだっ
た。
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2008-10-28 Tue

* マイクロトレンド [book]

世の中で埋もれているトレンドのうち、広く流行しているのに常識と異な
るために目に止まらないトレンドをマイクロトレンドと呼び、それらの現
象を様々な分野から取り上げて紹介している。

かなり大量の情報が脈略なく取り上げられていて、途中から何の本か分か
らなくなってしまった。一種、雑学の本かという印象…。あとがきを読ん
でから読み進めるのが良さそう。

筆者は世論調査の専門家で、クリントン大統領などの選挙参謀の際に
「soccer mam」層の出現を提唱して、勝利に貢献したという肩書らしい。
たしかにサッカーマムはマイクロトレンドに近いが、単に命名の妙という
気がしないでもない。。。ちょいと懐疑的。

2008-10-24 Fri

* 3年で辞めた若者たちはどこへ行ったのか? [book]

前著の続編。
既存のレールから外れる離職を決意して、年功序列から「アウトサイダー」
となった若者たちを追っている。
Referrer (Inside): [2008-10-31-1]

2008-10-24 Fri

* なぜ若者はなぜ3年で辞めるのか? [book]

人事制度としての年功序列を痛烈に批判する。

1990年代に始まった年功序列制の崩壊以降の日本社会の企業風土の迷走を
追いながら、派遣やフリーターといった非正規をも含んだ若年層からの搾
取という観点からまとめている。

とりわけ、左派・右派や労使といった既存の対立軸を超えて、この構図を
守ろうとする既得権にしがみつくものとして強烈に非難している。
Referrer (Inside): [2008-10-31-1]

2008-10-24 Fri

* 「分解!」 家電品を分解してみると! [book]

ひたすら家電品を分解していって、その動作原理を解説しているだけだが、
とても楽しい本。某ちなっちゃんに教えてあげると喜びそう。。。
Referrer (Inside): [2008-10-31-1]

2008-10-21 Tue

* 『広辞苑』は信頼できるか [book]

書名に「広辞苑」とあるが、副題にあるとおり、各種国語辞典の100項目
サンプルによる比較調査が主題となっている本。

個人的な思い出としては、小学校6年生のときの誕生日プレゼントだった
か、クリスマスプレゼントだったかで、当時出版されたばかりだった『広
辞苑』第4版を入手したのを覚えているが、その当時はテレビCMでもかな
り流れていて、新版の広辞苑が欲しかったのは覚えている。結局中学生の
時分には、ブリタニカ百科事典とならんで、広辞苑がよく広いた本の一つ
になっていた記憶がある。友達と一緒にたほいやゲームをしたりなどもし
たし、今でもかなり親しみがある。

それはともかく、本書は国語辞書批評の本である。共通の100項目を選定
した上で、市販の辞書を大中小とそろえ、それぞれの記述・説明の有無な
どを詳細に見ている。

しいて言えば、共通項目の選定の根拠がいまひとつ分からないのが難点で、
広辞苑をはじめとする特徴のはっきりとした辞書はともかく、微妙な性格
の中辞典などはあまりくっきりとした特徴は出ていない。もともとの辞書
という媒体の持つ性格なのだろけど。。。

著者はもともと新聞の校正の現場にいたという立場である以上、どうして
も対象が新聞用語を基調としたものになりがちという印象はいなめない。
また、古文に相当するものをこの種の批評に組み入れるべきかは、悩まし
い面がある。きっと、辞書作成者の立場から似たようなことをやってみる
と、面白いのだとおもう。
Referrer (Inside): [2008-10-31-1]

2008-10-09 Thu

* 甦るチューリング [book]

職場でACMのマグカップを使っていたところ、そこに描かれたチューリン
グの肖像画の話題になり、その場ではうまく説明できなかったが、同僚が
持っているということで、貸してくれた本。

著者は筑波大の元教授で(NetNews等でも見かけた記憶あり)、人工知能・
知能進化の専門家らしい切り口で、チューリングが研究テーマとした計算
機械構想に迫っている。

テーマそのものが、人の知性や判断性能に関わるとても重要なものである
点を基礎から説いており、数学者チューリングの人生とあわせて、とても
興味深く読めた。
Referrer (Inside): [2009-03-25-1] [2008-10-31-1]

2008-10-07 Tue

* 経済は感情で動く [book]

行動経済学をテーマとした本。

認知心理科学と進化生物学、ゲーム理論などの基礎を解説しながら、「合
理的で理性的な人」(ホモ・エコノミクス)という存在を否定していく。

分野は違うものの、IRCE や CRES の共同研究でやっているテーマそのも
のなので、とても面白く読めた。そのままWeb上での情報行動研究に応用
できそうな話もいくつかあるように思う。。。

2008-09-14 Sun

* The Last Lecture [book]

ミュンヘン出張の機中で読んだ。

レクチャーそのものと変わらず、本もとても感動的な出来栄えとなってい
る。乾燥した機内でもドライアイならず涙が出てくる思いで読んだ。

レクチャーの背後にあった葛藤などが率直に語られていて、伝わるものが
ある。

また、改めて時間管理や共同作業のためのヒントもふんだんに盛り込んで
おり、一流の研究者らしい仕事術の一環としても興味深い。
Referrer (Inside): [2009-01-03-1] [2008-09-30-1]

2008-09-12 Fri

* 現代日本のアニメ [book]

アメリカ人の著者による、日本のアニメの独自性と普遍性を解説した本。

アメリカで出版されたものを輸入してきた作品というところがある意味で
は面白い。

本論のいわゆる文化哲学的な考察はさておき、昨年出会ったイタリア人マ
ンガオタクの青年を思い出させるような、付論として付けられた論説が興
味深い。

アメリカにおける文化論の中では、日本アニメはセックスとバイオレンス
にあふれているという言説が支配的で、その魅力が伝えられることが少な
かったという論に今更ながら逆に驚いてしまう。
Referrer (Inside): [2008-09-30-1]

2008-09-10 Wed

* ウェブは菩薩である [book]

現在のWeb上で起こっている現状を分かりやすく解説した啓蒙入門書。
メタデータやRSS、フォークソノミー、ソーシャルブックマークなどの
emerging web technology の話題を分かりやすくまとめている。

書名が印象的なので読んでみたが、思ったよりも一般向けの本だった。
率直に言えば、もう少し突っこんだ解説を期待していたのでちょっと残念
だが、よく考えれば、ここまで一般向けにメタデータ解説をした本という
のは少ないので、とても貴重な雰囲気であるとも言える。
その観点からすれば、大向さんの「ウェブがわかる本」と並んで貴重な本
となるかもしれないという印象を持った。
Referrer (Inside): [2008-09-30-1]

2008-09-05 Fri

* 死刑 [book]

オウム信者たちを追った作品で有名なドキュメンタリー作家の森達也によ
る死刑制度をテーマとした本。

作中で「死刑制度をめぐるロードムービー」と述べている通り、色々な側
面から死刑制度に取材を試みるも、その困難さに挫折しかける著者の姿を
中心に、かなり率直に描いている。

個人的には、死刑制度はもともと刑務官に肩代わりしてもらっている執行
に負う面が大きすぎるので反対なのだが、本書でもそれを確信させるよう
な断片的な話は出てきている。
しかし、やはりテーマそのものから離れる作者個人の心象風景が大きく描
かれすぎという印象があり、あまりフォーカスされておらず残念な印象…。
Referrer (Inside): [2008-09-30-1]

2008-09-04 Thu

* ラボ・ダイナミクス [book]

研究室運営のための実践的な本。

ラボ内外で発生するコミュニケーションロスと、それへの対応を助言し、
交渉術など、より良い運営を図るための指南本。これらを実践することで、
実利的に研究環境を良くできるとの分かりやすいご利益を見せてくれる。
アメリカ人らしい本と思った。

事例が身近でありがちなものだけに、身につまされる。。。
えてして後回しにしがちな側面が満載だったので、参考にはなった。
と同時に、海外かつ生化学と分野違いにもかかわらず、国内で見聞きする
事例とそれほど変わりがないことに驚く。
Referrer (Inside): [2008-09-30-1]

2008-09-03 Wed

* Tokyo Wonderland [book]

『American Pie』[2008-08-16-1]、『Kitchen Table Talk』[2008-08-22-1]
とつづいたエッセイ作の第3弾。

これまでよりも徹底した日米比較論にふみこんでいる印象。
逆に最初の作品にあったユーモアや皮肉の味は消えている印象も。。。
Referrer (Inside): [2008-09-30-1]