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book - まさおのChangeLogメモ

2008-01-04 Fri

* Jポップとは何か [book]

「Jポップ」概念の創成と、産業としてのJポップを解説。

歌謡曲を越えるためのマーケティング用語として成立した経緯から一般に
膾炙する様子までを克明に描いている。また産業面では、1990年代末期の
急成長と急落の明暗を描いている。海外市場との対比や、産業規模の解説
も手頃で優れた解説となっている。

2008-01-03 Thu

* 暗殺者 [book]

スパイ小説。映画『ボーン・アイデンティティ』シリーズの原作。
帰省帰りの新幹線にて読了。

全体のスピード感に切れがあって、楽しく読めた。
原書が1980年発表の作品ということで、主人公がベトナム帰りということ
にも説得力のあった時代背景だったりするのだろう。これからの時代だと
湾岸・イラク戦争帰りとか、そういう話になるのかな…。

2007-12-30 Sun

* プラスティック [book]

井上夢人お得意のアイデンティティクライシスもの。

ワープロとフロッピーという設定に時代を感じるものの、その時代空気も
またひとつ面白いところ。

図書館・延滞通知が微妙な道具立てとして使われている…。

2007-12-29 Sat

* 夢の守り人 [book]

守り人シリーズ3作目。
舞台は再びヨゴ国に戻って、呪術師の物語。

帰省の新幹線車中で読了。

2007-12-29 Sat

* 闇の守り人 [book]

舞台を主人公の故国に変えた、守り人シリーズ第2弾。

帰省の新幹線車中で読了。

2007-12-26 Wed

* 精霊の守り人 [book]

ファンタジー世界を舞台にして、地に伝わる伝承と政の関係や、家族の絆、
成長物語をうまく描いている。

春に読んだ「獣の奏者」が素晴しかったので、同じ作者による作品は機会
があれば是非読みたいと思っていたのだけど、たまたま名古屋での忘年会
からの帰りの新幹線で読むのにちょうどよさそうだったので、名古屋駅で
購入。

設定やキーポイントなどは似た雰囲気のストーリーだったけど、こちらで
もその土地に伝わる伝承そのものをかなり強く意識した話になっている。
ファンタジー世界独特のお約束としての「国」が少しこじんまりとしてい
るのが気にはなるけど、ストーリーそのものは明瞭でとても面白かった。

どうやらシリーズとして続いているらしいので、続編は年末年始の帰省
のお楽しみにしようと思う。

2007-12-26 Wed

* 死ぬことと見つけたり [book]

佐賀藩士を主人公にすえて、命を捨てるべく生きる武士の姿を描いた時代
小説。

戦前軍人に愛好されたとされる『葉隠』における武士道精神の生死観を元
に、島原の乱などの当時の著名な史実や人物を登場させつつ描いている。

隆慶一郎による絶筆の作で、最終2章が未完のまま、主人公たちの死に様
は描かれないまま終わっている。

様々な出来事が次々と登場するため、途中でダレる感じも多少あったけど、
独特の疾走感あふれる描写が心地良かった。

2007-12-20 Thu

* 市場化の時代を生き抜く図書館 [book]

経費節減を目的とした、民間委託や指定管理者制度導入などが急速に進む
公共図書館の現状と、今後の図書館経営戦略を解説している。

公共図書館に迫っている市場化(業務委託、指定管理者制度)の波を所与
のものとして、それらにどう対処すべきかを明確に述べている点で、いま
求められる本という感じ。

とりわけ、単なる経費節減を目的とするのではなく、各地域の実状にあわ
せた図書館としてのミッションを確立し、サービスの高度化を主眼に置く
べきという提言は、急速に悪化しつつある図書館経営の現状に対する処方
箋として、大変重要なもののように思った。
さらにもう一点、図書館職員の人材育成に向けての観点を、理念的および
実務的な立場の両者から論じているのも大変興味深かった。

おそらく今後、公共図書館の閉塞状況を打破するためには、上記2点に的
を絞って、もっと掘り下げて議論する必要があるだろうという気がする。

他にも、契約の際の事業者評価や遂行にあたってのモニタリング、事後評
価といった実務面からの解説もあり、今後の公共図書館経営にあたっての
必読の書となる気がする。
また、現在の図書館経営はどこも苦しいので、たとえ館種が違ったとして
も図書館関係者にとっては色々なヒントがありそうな気はする。

次は「事業者」「市場」の実像がきちんと見えてくるといいのだけど…。

2007-12-14 Fri

* 定刻発車 [book]

日本の鉄道文化に独特とされる定時運行を成立させている要件と、今後の
展望を述べたもの。

江戸期の時間感覚から解説をはじめて、大正期までには現在のような定時
発車が成立した経緯や、戦後の技術革新による鉄道システムの洗練のさま
を、国鉄・JRの取材をもとにまとめている。

話題が幅広く大部だが、鉄道技術・システムに関わる面と、人々・社会と
の関わりの中での鉄道文化としての面との両面を見事に描いており、とっ
ても興味深く読めた。

実は帰省の電車を予約しようとおもっていて、空席チケットに頻繁にアク
セスしていて、その関連で支援システムとしてのITシステムの役割につい
て読んでみたかったのだが、全体像の中からすると、現状にかかわる詳細
はそれほど出てこなかった。そちらについては別の本を読んだ方が良さそ
うだが、日本の文化の中での鉄道の役割が詳細に解説れていたのが面白く、
思わぬ収穫といった感じ。

2007-12-14 Fri

* 真犯人 [book]

グリコ・森永事件の真犯人に迫る推理を展開するノンフィクション。

これまで非公開となっていた捜査本部の内部報告書を元に事件の全容を描
くとともに、犯行に関わったのではないかとされる男(自殺した故人)の
様子を関係者の証言を参考に描いている。

事件が起きたのは私が小学校3年生の時だから、記憶は片隅に残っていて、
テレビでしきりに青酸カリ入りチョコレートを置いたとされる監視カメラ
の映像を流していたのを覚えているし、友達や周りの大人たちと怪人21面
相の話をした記憶がある。しかし、事件の全容はほとんど覚えておらず、
特に事件の発端となった誘拐のあたりとか、やり取りの全体像は完全に忘
れていたので、詳細な記述はとても興味深く、おもわず一晩かけて読んで
しまった。

推理そのものの方は説得力はあるものの、決定力に欠ける気もするので、
そういうこともあるのかな…と話半分で読むのがよさげ。

2007-12-11 Tue

* 国家の罠 [book]

鈴木宗男事件において外務省側のキーマンとされた人物による事件回顧録。
事件の背景説明を交えながら、捜査、取り調べなど、勾留中の様子を描い
ている。

特に、取調べをした検察官による「国策捜査」という言葉を紹介し、検察
特捜部の論理による事件や捜査のあり方を批判している。

鈴木宗男・田中真紀子による確執に端を発した騒動は、ワイドショーネタ
となって、世間を相当に騒がせたため記憶にあるが、彼の人がどのような
扱いを受けていたかはよく覚えていなかった。

確かに検察が事件そのものの構図として採用した、学会出張・招聘のため
の支出を北方領土支援委員会の予算から計上したケースというのは、それ
ほど奇異な感じはせず、普通のケースだろうと思う。大学や研究所でも工
夫して、学会運営のための経費を捻出するというのは、普通に行われてい
るのではないかという気がするので、むしろ、硬直化した会計制度の不備
の方が悪ではないかという気がする。これらが言い掛かりに近く、まさに
国策捜査のための立件だというのは、著者の言う通りだと思う。

あと、インテリジェンスに関わる活動については、その一端を書いていて
興味深くはあるものの、実態はよく分からず。本人の自慢話らしく見える
ために、かなり歪曲して描いているのではないかとの印象も受ける。
Referrer (Inside): [2008-02-20-1]

2007-12-09 Sun

* 凶水系 [book]

森村誠一による推理小説。

本筋はともかく、図書館の督促状や貸し出し簿による個人情報の追跡が、
ひとつの道具として使われていて面白い。海外モノではよく見かける展開
だが日本の小説ではあまり見かけない展開なので、興味深い。
1977年とかなり昔の作品を改訂して文庫化したもののようだが、今読んで
も違和感はそれほど無いのも面白かった(オリジナルからの改訂の度合は
分からないが…)。
ともかく森村誠一は結構図書館を使っていたのだろうなあと想像できる。

2007-12-09 Sun

* ウェブ炎上 [book]

インターネット上での「炎上」「祭」現象とその背景をメディア・コミュ
ニケーション論や、社会心理の観点から解説したもの。

タイトルにはWebとあるが、話題はメールやマスメディアでの状況にも触
れ、リアル社会での炎上事象と新しいタイプの炎上事象とを相互に描いて
いる。

以前[2007-04-11]に読んだ類書が個別事例の紹介を中心にジャーナリスト
的な解説で内容的にはやや物足りない感が残ったのに対し、こちらは学術
的な背景解説とともに、より詳細な紹介をおこなっている印象。

内容的に個別事例の紹介から理論的背景の解説まで幅広い内容を含むため、
やや散漫な印象はあるものの、入門的な新書としては良く書かれていると
思う。

細かな点では、あちこちで引用されるキャプチャ画像がJPEGベースらしく、
ノイズが乗っている状態で掲載されていたのがもったいなく少し残念(ど
うでもよい点ではあるが…)。

2007-12-06 Thu

* 高学歴ワーキングプア [book]

博士号取得者の就職難の問題を取り上げた本。

大学院重点化に伴って学位取得者が急増した現状から、常勤職の獲得を巡
る競争社会に様変わりしている様子と、その中で苦しむ学位取得者、大学
院生などの姿とともに描いている。

著者の述べる面はおおむね正しいと思う。
出発点、問題提起としては、簡潔で十分ではないかと思う。

ただ、特任助教は今のところ無いとか書いてあったけど、公募とかでもだ
いぶ見かけるようになっている気がするなあ。

あと一点だけしいて言えば、「ワーキングプア」という言葉の使い方には
弊害もあるのではないかという気はするけど。
業界としては、博士号取得者の大半がワーキングプアになっている訳では
なく、そのうち一部が非正規職を余儀なくされフリーターとして生計を立
て、ワーキングプア一歩手前となっている者もいるといった方が正確だろ
う。まあ、マーケティングとして、問題提起したいという意図として受け
取ったけど。

どちらにしろ、現に非正規ポスドク研究員という筆者と同様の立場で雇用
されている者としては、とっても論評が難しい本。
筆者の言うように「開き直るしかない」のが現状だろうなあと溜息…。

一方、この本ではあまり取り上げられなかった話題としては雇用側の動き
が気になった。現在の状況では、人事委員会など雇用側で審査を行う教授
たちにもおそらく変化が生まれてきているのではないかと思うのだけど、
その話題はあまり書かれていない。数百件からの応募書類の山をどう審査
するかとか、話題は尽きそうにない。すこし下世話な興味かしら!?
そういった角度からの取材があるとさらに良かったかなあと思う。

あくまで他人事として論評すれば、たぶん筆者の言うとおり、大学院重点
化が需要と供給のバランスを崩してしまって、大量の求職者(学位取得者)
を産んだのだろうけど、これは別にこの業界特有のことではなく、どの業
界でも起こりうることだろう。
で、おそらくは学位取得者のちょっと特殊な立ち位置と、日本の労働慣行
とがこの現象を加速したのだろう。

これには、日本の求職市場における年齢差別(というか非新卒者に対する
非対称な就職市場)の問題も大きいのではないかという気がしている。つ
まり、ひとたび「新卒」という立場を逸してしまうと、なかなかに新卒市
場に匹敵するだけの求人機会を得るのは難しいという問題であり、博士課
程学生の場合は、新卒という立場そのものからかなり離れた立ち位置にい
るために、そもそも新卒市場からも度外視されてしまっているようなとこ
ろがあるために起こっている気がする。
ただ、これら全ては日本の労働市場の制度として確立されてしまっている
ので、おそらく短期的に解決するのは難しいのではないかという気はする。

おそらくこういった八方ふさがりの現状が今の「高学歴ワーキングプア」
を産んだのだろうが…。解決策はもちあわせていないし、なんともならな
いだろうなあとだいぶ悲観的になっている。

2007-12-04 Tue

* 神と科学は共存できるか? [book]

グールドによる宗教急進派と進化論との闘いを巡るエッセイ。NOMA(非重
複教導権)原則なる概念を導入して、科学・宗教間での共存を訴える内容。

自然科学と宗教とにはお互いに犯してはならない領域が存在し、それぞれ
がそれらを尊重しなければ、お互いに不幸を呼んでしまうということを訴
えている。

夏頃に読んだドーキンスの「神は妄想である」と対をなすような議論で興
味深かった。

が、本書は基本的には、アメリカだけに局地的に存在するキリスト教原理
主義の政治的影響力のためだけに書かれた本であり、あまりにもローカル
な話題にすぎるのではないかという気がする。
そういった意味で、日本の読者向けとするために、最後の4分の1くらいを
訳者解説にあてなければならなかった出版社側の苦渋もわからないでもな
いが、いかんせん主題そのものに魅力が欠ける。

アメリカにおける進化論を巡る議論を歴史的推移から丹念に描いている点
は、参考になって面白く読めたので良かったけど。

2007-12-01 Sat

* ワーキングプア [book]

働きながらも貧困から脱出できない「ワーキングプア」層を描き、世間に
ワーキングプアなる存在を知らしめ、NHKの面目躍如ともなったドキュメ
ンタリー制作チームによる取材内容をまとめた本。

昨年の本放送の方は、一部を実家でちらっと見た程度であったけど、丹念
に事例をとりあげつつも抑揚の効いたとても良い内容であった。

本書でも放送内容のハイライトをおさえつつも、制作サイドの思いがよく
伝わるような内容になっており、放送内容を伝えるという意図と、社会へ
の問題提起とを両立させた、ジャーナリスト的に重要な仕事をこなしてい
ることがよく分かる。社会的反響を呼んだだけのことはあるなと納得。今
の時代の空気を伝えるという意味でも重要な一冊になっていると思った。

2007-11-30 Fri

* 嗤う日本の「ナショナリズム」 [book]

浅間山荘事件の全共闘世代から、80年代から90年代のテレビ世代、そして
現在の2ちゃんねるにいたるまでの時代空気として展開してきたアイロニー・
シニニカルな論説を取り上げて、社会意識の変化を追っている。

世代差なのだろうけど、個人的には全共闘世代については全く実感が湧か
ないし、80年代前半の空気もよく分からない。ただし、80年代中盤以降の
日本社会の変遷については追えているつもりなので、アイロニー的に嗤う
社会ができてきたとの主張については、説得力を感じた。

ここで気になるのは、それら時代空気と個別現象とにどれくらいのつなが
りを見るべきかという点にありそうなのだけど、そちらについてはよく分
からないというのが率直な感想。おそらく著者もそのつながりというとこ
ろまでは言及していないし、全体像としてとりあげるにとどまっている雰
囲気。

本書での2ちゃんねるへの言及はわかりやすく、適切な説明だとは思うも
のの、一面的に代表させすぎという気も少しして、そろそろ10年を経過し
ようとする2ちゃんねるという空間そのものの変容をも考えるべきではな
いかとも思った。

2007-11-28 Wed

* 人はなぜ学歴にこだわるのか [book]

「学歴」をテーマとして書いたエッセイをまとめたもの。
世の中が学歴による出自に影響をうけているという学歴社会に対する思い
を述べている。

基本的に、著者の学歴に対する屈折した思いを吐露しているだけなので、
とくに見るべきものは無い。
こういう人もいるんだなあとテキトーに読むのが正しい姿かと思う。

唯一、最後の章の赤羽育ちというところでとても親近感が湧き、その自嘲
気味の説明が面白かった。高校もおんなじだし。。。

彼の不幸は早稲田大のような有名校に進学してしまったことなのかなあ。
よくわからないけど…。

2007-11-27 Tue

* 普通の家族がいちばん怖い [book]

国内の主婦を対象として、正月やクリスマスをどのように過ごしているか
の調査結果を報告。近年の主婦層や家族像の変化を描いている。

調査結果そのものはとても面白く、価値あるもののように思う。

しかし一方で、全体の主張にかなり違和感があり、あまり前向きには受け
取れなかった。

著者は、主婦たちの勝手気ままさと「私」中心主義を批判的に描いており、
旧来の家制度における家族像をそれと対比させた形で論評していた。しか
しながら、この論評自体がかなり観念的な形で語っているのではないかと
の印象を受けた。
むしろ、この筆者による考察や主張を省いた、純粋な調査結果報告だけで
読んでみたいと思った。

本論での主張以外では、調査紙等での回答項目と実態との乖離についても
触れられていたが、こちらも興味深い現象と思った。ただ、これについて
は、むしろ学校教育における情緒作文教育の賜物ではないかという気もす
るし、「本音と建前」に代表される旧来型日本人像に沿う展開として見た
方がいいのではないかなという気はした。

また、著者も述べている通り、主婦だけを対象とした調査結果なので、調
査結果および主張においては父親に相当する家族内の男性の姿はほとんど
現れない。やはりこの部分は気になるところで、両面からアプローチした
方がいいのではないかなと思った。

2007-11-27 Tue

* やさしいデザイン [book]

入門書。基本的な内容をコンパクトにまとめていて読みやすかった。