Google上での検索行動をEye Tracking手法で計測した結果を報告。
doi:10.1016/j.ipm.2005.10.001
・書誌事項:
Lori Lorigo, Bing Pan, Helene Hembrooke, Thorsten Joachims, Laura
Granka, Geri Gay: The influence of task and gender on search and
evaluation behavior using Google, Information Processing &
Management, Vol.42, No.4, pp.1123-1131.
・概要:
Eye Trackingによる視線移動を記録する手法でよりリアルな検索行動の観
察をおこなった。
視線移動と滞留の組み合せをscanpathとして表現してこのパスとその変形
compress, minimalのパスを分析。
被験者として学部生23名(男14・女9)を採用し、各課題2分までとして、
10課題まで実験。Googleで計437クエリにおよぶ実験をおこなった。
このうち、1クエリ当たり0.80ページが選択され、クエリの39%ではページ
選択がおこなわれた。また、96%のクエリでは最初の検索結果ページしか
閲覧されなかった。
課題中、正解が得られたのは約60%で、平均1.6クエリの発行4.78ページク
リックがあった。
scanpathの平均長は16, compress 5.8, minimal 3.2となり、平均すると3
つしかsnippetを眺めないという結果が観察された。また、提示ランク順
にcompressが並んだものは19%、minimalでは34%となり、逆戻りやスキッ
プを含むパスはそれぞれ58%、50%と高率に達し、提示順のまま結果を眺め
るのは稀という結果となった。
また、タスク(Navigational/Informational)毎における分析で有意差が
観察されたのは以下の特徴:
・タスク完了までの時間 I > N
・Web文書で過ごした時間 I > N
・Google結果ページで過ごした割合 N > I
・Web文書内での滞留回数 I > N
・選択文書中の1文書あたりの時間 I > N
・選択文書中の1文書あたりの瞳孔拡張回数 I > N
また、性別毎の特徴では、女性の方が上位ランクの結果に着目しがちで、
結果ページでの逆戻りも多いなどという結果が出た。
・感想:
非常に面白い結果が出ている。
滞留などのパターンがタスク種別に左右されないというのは一つの知見か
もしれない。これはGoogleの結果ページが均一なページ構成を持っている
影響からか…。
一方でデータの提示のほとんどが平均値によっているため、いまひとつ実
際の様子について分からない部分が多い。グラフなどでその分布を示して
くれると良かったのでは…!?
(2005-01-13追記)
アメリカのインタネットユーザの調査による報告書の要約を読んだが、性
別による違いは意外と分かる範囲かもしれないとの印象を受けた。「男性
の方が自分ができるサーチャーであるとの自信がある」などの項目。
cf.
http://www.pewinternet.org/PPF/r/171/report_display.asp